——伝えることの限界と、成長の条件について

砂田誠(Office TEAM101) 2026年


本稿は誰かを見下すために書いたものではない。 教える側に立ってきた人間が、伝わらないという現実に何度もぶつかり、 その構造を言語化しようとした記録だ。 読んで不快になる人がいるだろう。それは、たぶん効いている。


第1章 話の通じない人たち

話が通じない人がいる。

これは比喩ではない。文字通り、話が通じない。同じ日本語を使い、同じ単語を並べ、同じ文法で話しているのに、意味が伝わらない。

金融教育の現場で、この問題に何度も直面してきた。リスクの説明をする。損切りの重要性を説く。ルールを守ることの意味を伝える。相手は頷く。「わかりました」と言う。そして翌日、まったく同じ失敗をする。

最初は教え方が悪いのだと思った。もっとわかりやすく。もっと具体的に。もっと丁寧に。——しかし、ある時点で気づいた。これは教え方の問題ではない。

話が通じないのには、構造的な理由がある。


第2章 三つの「通じない」

話が通じない状態は、少なくとも三つの異なる構造を持っている。

聞いていない

第一の構造。そもそも聞いていない。

物理的に音声は届いている。文字は見えている。しかし、聞いていない。自分が聞きたいことだけを待っている。「で、何を買えばいいの?」「で、儲かるの?」——この答えだけを待っていて、それ以外の情報はすべて雑音として処理されている。

これは悪意ではない。不安が強い人間、欲が強い人間は、視野が狭くなる。視野が狭くなると、自分の関心事以外の情報を受信する回路が閉じる。話し手がどれだけ重要なことを言っていても、受信回路が閉じていれば届かない。

理解できない

第二の構造。聞いてはいるが、理解できない。