ここに書いていることは、私がこの世界をどう見ているか、という話です。 違う見方をする人もいるでしょう。それを否定はしません。 ただ、私はこう見ています。その上で、あなたに考えてほしいことがあります。


世界は壊れた

2020年、新型コロナウイルスが世界を襲いました。

国境は閉ざされ、人の流れは止まり、世界は分断されました。各国政府は経済を支えるために莫大な資金をばらまきました。アメリカは3.58兆ドル、日本は3.58兆ドル、EUは7,230億ユーロ。各国の中央銀行も前例のない規模で資金供給を行い、FRB(米国連邦準備制度)の資産はわずか2年で2倍以上に膨れ上がりました(2019年→2022年、+105%)。ECB(欧州中央銀行)も+83%。日銀も+23%増加しています。

しかし、そのお金の多くは実体経済ではなく金融市場に流れ込みました。

結果、何が起きたか。

資産を持つ人はさらに豊かになりました。S&P500(米国株式指数)は2020年3月の暴落からわずか5ヶ月で回復し、2024年には前年比+32%を記録しています。世界のビリオネア(超富裕層)の資産は2020年以降81%増加し、2025年には18.3兆ドル(史上最高)に達しました。上位1%が世界の富の約半分を保有している、とOxfam(国際NGO)は報告しています。

持たない人はさらに苦しくなりました。世界中で格差が広がり、その後に来たインフレは、ばらまいたお金の代償として人々の生活を直撃しました。日本の実質賃金は2022年4月以降マイナスが続き、2025年通年で4年連続の減少となっています。食料品価格は2023年に前年比+9.2%上昇しました。OECD加盟20カ国で、コロナ前の2019年を基準にした実質賃金がいまだにマイナスという状態です。

この過程のなかで社会は分断され、それを煽る人々も現れました。世界をまとめるリーダーは不在でした。その可能性を持っていた日本の政治家は、凶弾に倒れました。

コロナは単なる感染症ではありませんでした。世界の構造そのものを壊した出来事でした。


ハリボテの平和の崩壊

世界がコロナの余波から回復しないまま、2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。

この戦争は世界の分断を決定的なものにしました。

それまでグローバル経済という薄皮のもとで維持されていたハリボテの平和は崩れ去り、対立は表面化しました。資本主義の限界が語られ、ナショナリズムが叫ばれ始めました。サプライチェーンは断絶し、エネルギー価格は高騰し、半導体不足は世界中の製造業を直撃しました。

2014年から続いていた東西の対立は決定的なものとなりましたが、それは単に資本主義と共産主義の争いではありませんでした。

世界は三つの価値観に引き裂かれています。

グローバル・エコノミズム ── 市場の力で世界を統合しようとする考え方。

グローバル・コミュニズム ── 思想や理念で世界を統合しようとする考え方。